本記事は、このような方に対して書いています。
私は中年です。ハンドルネームは、朝ん。比奈宗平。私――朝比奈は映画好きで、4歳から映画を見ています。もはや何作見たのか分かりません。
そんな朝比奈は、ドラえもん映画を全部見ています。
そのような訳で、本記事では映画「ドラえもん のび太の小宇宙戦争2021」をレビューすることにしました。また、のび太について(まだ世に出ていないと思われる)考察もしています。
映画ドラえもん「のび太の地球交響楽」が公開されるまでの間、もう一度「のび太の小宇宙戦争2021」をご覧になってみてはいかがでしょうか?
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- のび太の小宇宙戦争2021の詳細
- のび太の小宇宙戦争2021のレビュー(評価)
- のび太の小宇宙戦争2021の感想
- 「リメイク版のび太の小宇宙戦争2021」の改善案
- のび太の小宇宙戦争2021の関連記事
のび太の小宇宙戦争2021の詳細
のび太について、次のように紹介します。
このように3つに分けて紹介します。
のび太の小宇宙戦争2021の概要
のび太の概要を表にまとめました。
項目名 | 内容 |
---|---|
公開日 | 2022年3月4日 |
収入 | 26億9000万円 |
監督 | 山口晋 |
脚本 | 佐藤大 |
音楽 | 服部隆之 |
主題歌 | official髭男dism「Universe」 |
テーマ | 自分に正直に生きる、人を思いやる気持ちが一番大切 |
主な舞台 | 地球、宇宙、ピリカ星 |
原作の有無 | あり。大長編「のび太の小宇宙戦争」 |
ワクワク要素 | ★☆☆☆☆ |
ホラー要素 | ☆☆☆☆☆ |
ハラハラ要素 | ☆☆☆☆☆ |
泣ける要素 | ☆☆☆☆☆ |
アクション要素 | ★★☆☆☆ |
リメイク版の大きな変更点は、テーマでしょう。
オリジナル版「のび太の小宇宙戦争」は、反戦――特に戦争から子供たち(の未来)を守ることがテーマでしたが、リメイク版の本作のテーマは「自分に正直に生きる、人を思いやる気持ちが一番大切」になっています。
このようにリメイク版では、テーマが大きく変更されていました。
そのため、戦争を軽視するかのような表現がされています(エンディングにおける一行が、どのように映画を撮影したか教えたがるシーン。筆者には一行が戦争体験を誇らしげに思っているようにも見え、このシーンにゾッとしました)。
やはり戦争未経験者の方が、戦争を題材にした映画を作るものではないと再確認しました。
のび太の小宇宙戦争2021の登場人物&キャスト
のび太の登場人物とキャストは次の通りです。
- ドラえもん:水田わさび
- のび太:大原めぐみ
- しずか:かかずゆみ
- ジャイアン:木村昴
- スネ夫:関智一
- 出木杉英才:萩野志保子
- クロ:花菱漣
- パピ:朴璐美
- ロコロコ:梶裕貴
- ゲンブ:玄田哲章
- ピイナ:松岡茉優
- ドラコルル:諏訪部順一
- ギルモア:香川照之
のび太の登場人物とキャストは、このようになっています。
各登場人物の詳細は、下記をご覧ください。
ドラえもん:水田わさび
本作のドラえもんの役割は、贈与者だと思います(本作に限っては自信がありません)。
「のび太の小宇宙戦争」オリジナル版では、ドラえもんの役割はメインでした(戦争をテーマにしているため、オリジナル版は群像劇になっていると考えています)。
それが本作ではゲストのパピを掘り下げたため、物語が貴種流離譚に変化しているように見受けられました。
このように本作のドラえもんは、メインのパピに「ひみつの道具」を使って協力する役回りになっていると考えています。
のび太:大原めぐみ
本作の「のび太」の役割は、狂言回し(主人公ではないが、場面の転換や話の進行に関わる重要な役柄)になっています。
スターウォーズの「C-3PO」と「R2-D2」と同じ役回りです。
しずか:かかずゆみ
本作での「しずか」ちゃんの役割はヒロインだと考えています。
なぜなら新たな設定が付け加えられているからです。
本作の「しずか」ちゃんは第二幕前半でパピを助けます。またパピの姉ピイナに似ているという設定が付け加えられました。
これらのことより、しずかちゃんは本作のヒロインだと考えられます。
ジャイアン:木村昴
ジャイアンの役割は、バディまたはウエットブランケットだと考えられます。
パピに突っ込みを入れることが多いので、どちらかというとバディに近いかもしれません。
しかしオリジナル版に比べて、ジャイアンの活躍が減っているのは残念です。
スネ夫:関智一
スネ夫の役割は、第二幕前半の途中までウエットブランケットです。
ところが、第二幕前半の途中でパピに慰められることにより、ヒーローに昇格します。
またミッドポイント直前で、ドラえもん映画における一応のメインである「のび太」にまで褒められます。しかも、ご丁寧なことにスネ夫は本作中に3回判断を誤っていました(これは主人公は少なくとも3回は誤った判断をするというルールです)。
おそらく「コレ」は、オリジナル版のクライマックスのスネ夫が活躍するシーンを見た多くの方が、「のび太の小宇宙戦争の主役はスネ夫だと勘違いしている」ことを受けての変更でしょう(オリジナル版は群像劇なので、ドラえもん一行それぞれにスポットが当たっているだけなのですが)。
いずれにしても、ややこしいのは間違いありません。
出木杉英才:萩野志保子
出木杉君の役割は、モブキャラです。
クロ:花菱漣
本作におけるクロの役割は、ゲートキーパーです。
パピ:朴璐美
前作のパピの役割はヘラルド(使者)でした。そしてオリジナル版のパピは、とても重要な役割を担う登場人物でした。
それに対し本作におけるパピの役割は、メインだと考えられます(脚本でのパピの扱い方が複雑なので、どの役割なのか筆者には判別しにくいです)。
そのため、リメイク版の本作のパピは、オリジナル版で担っていた重要な役割を果たしていません。
ところで、オリジナル版のパピ役は潘恵子さんだったので、娘の潘めぐみさんにした方が話題性もあり面白かったかもしれませんね。
ロコロコ:梶裕貴
オリジナル版に引き続き、本作のロコロコの役割もフールウィズ(おバカな賢者)です。
ただし、オリジナル版に比べるとロコロコの存在意義は薄れています。
梶裕貴さんの演技は、三ツ矢雄二さんを彷彿させる素晴らしい演技でした。
ゲンブ:玄田哲章
ゲンブの役割は一応仲間ですが、ほぼモブキャラです。
ピイナ:松岡茉優
ピイナの役割は、ほぼモブキャラです。というよりも、パピの人柄を深掘りするための機能と言った方が良いでしょうか。
ドラコルル:諏訪部順一
本作のドラコルルの役割は、シャドウだと思います(パピのメイン抜擢により、もう何が何だか分かりません)。
どうでも良いことですが、オリジナル版で部下役をしていた中尾さんに演じてもらう方が個人的には良かったと思いました。
ギルモア:香川照之
本作のギルモアの役割は、スネイクテイルです。
のび太の小宇宙戦争2021のあらすじ
ある日、のび太は学校で出木杉からユートピアの話を教えられ、自分もそんな理想郷で暮らしたいと思う。昔から各国にユートピアの作り話があり、ユートピアを探してみることにする。家で壊れた道具を整理しているドラえもんを見たのび太は、0点のテストを「四次元ゴミ袋」に投げ入れようとするが、ドラえもんに止められる。裏山でのんびりしているのび太は、青い虫で目が覚め、空に浮く三日月形の島に気付く。そこでドラえもんは「タイムツェッペリン」を購入し、しずか・ジャイアン・スネ夫を加え、天気雨が降って虹が出た時、5人で裏山からユートピアを探す旅に出る。
のび太の小宇宙戦争2021のレビュー(評価)
のび太と空の理想郷のレビューは、次の4つの項目に分けて行うことにしました。
- 脚本
- 絵
- 音楽
- ゲスト
この4つに分けて、のび太と空の理想郷をレビューします。
脚本
本作の脚本は、お世辞にも良いとは言えませんでした。
本作の脚本家は、「交響詩エウレカセブン」のシリーズ構成と脚本をなさった佐藤大さんなので、かなり期待していたのですが。
本当に佐藤大さんが書かれた脚本なのかと疑うくらい驚きました。
ただクライマックスにおける、のび太のシーンは良いアイデアだと思いました。
絵
本作の絵のクオリティは、良かったです。
多分、第2作2期のドラえもん映画シリーズの中で、屈指の出来だと思います。
そのためアクションシーンも迫力があり、手に汗握るものでした。
ただ、ピリカ星のシーンは独裁政権による、軍事活動が行われた様子もなく、リアリティに欠ける点も見受けられました。
これでは戦争の悲惨さや苦しみを伝えるのは難しいでしょう。
またラジコン戦車のデザインも玩具のようなデザインになっており、こちらもリアリティに欠けていました。
オリジナル版のラジコン戦車のデザインが現実的だったのは、ドラえもん一行が小さくなったことにより、ピリカ星の戦争が他人事でなくなったことを現わしている要素の一つです。
元のサイズ(大きい)のときは玩具だったものが、小さくなったときに兵器になるというギミック。
残念ですね。
音楽&主題歌
良かったと思います。
しかし、ディズニーの「美女と野獣」のように、劇中で同じメロディーを何度も流し感情を揺さぶる工夫がなされていた、オリジナル版に比べると音楽の演出が劣っていますね。
ゲスト声優&タレント
ゲスト声優やタレントの方の演技は良かったと思います。
のび太の小宇宙戦争2021の感想
のび太の小宇宙戦争2021を見た感想は、残念な点と良かった点に分けて紹介します。
のび太の小宇宙戦争2021の感想:残念な点
- おかしい脚本
- 分かりにくい登場人物の役割
- 変わってしまった映画のテーマ
- リアリティがなくなったメカ
- 原作にあった伏線がなくなった
- 大事なセリフがなくなった
このような点があり、「のび太の小宇宙戦争2021」を見て残念だと思いました。
そのため、のび太の小宇宙戦争2021は楽しく視聴できたものの、見終わった後にモヤモヤしました。また、ずいぶんと雑な作り方だと感じてしまいました。
残念な点1:おかしい脚本
リメイク版では、オリジナル版の脚本を大きく変えたため、脚本がおかしくなっています。
例えばオープニングイメージをカットしているため、映画のテーマが伝わらなくなっていました。その上、第一幕内のテーマの提示まで無くしているため、どんなテーマの映画なのかサッパリ分かりませんでした(クライマックスで初めて本作のテーマが明かされています)。
本作の脚本は、このように変な所が多いため、決して素晴らしいとは言えないと思います。
断っておきますが、本作はテンポが良く決して悪い作品ではありません。そのため脚本の出来が悪いのは残念に思いました。
残念な点2:分かりにくい登場人物の役割
本作の登場人物の役割が、よく分かりませんでした。
リメイク版の本作では、オリジナル版の登場人物の役割が大きく変更されています。
例えばパピ。オリジナル版のパピの役割はヘラルド(旅に出るきっかけを与える役割)でしたが、リメイク版の本作での役割は、多分メインだと考えられます(貴種流離譚と群像劇の良いとこどりをしようとしたのかしら?)。
このようにリメイク版の本作では、オリジナル版の登場人物の役割を変えたため、役割分担が分かりにくくなっていました。
パピの人物像を深掘りし描こうとしている意図は分かります。そして、この試みは上手くいっているように思います。
しかしパピの設定や行動を変えたため、本作を平凡な映画にしてしまったような気がしました。
それが、興行収入が下がるという結果に繋がったのではないでしょうか(決してコロナ禍の影響ではないと思います)?
この欠点もなければ、第2作2期目のドラえもん映画シリーズ屈指の傑作になっていたはずです。そのため、本当に残念で仕方ありません。
残念な点3:変わってしまった映画のテーマ
オリジナル版と本作では、映画のテーマが変わっています。
オリジナル版は反戦――特に未来ある子供に戦争をさせてはならない――でした。
しかし本作のテーマは、先述のとおり「自分に正直に生きる」や「人を思いやる気持ちが一番大切」に変更されています。
原作者である藤子・F・不二雄先生が、「のび太の小宇宙戦争」に込めた意図や想いを無視するのはいかがなものでしょうか?
原作者が映画に込めたテーマを変えるなら、オリジナルストーリーの作品にする方が賢明だと思うのですが。
筆者には藤子・F・不二雄先生を侮辱しているようにしか思えてなりません。
残念な点4:リアリティがなくなった戦車
本作では、登場する戦車のリアリティがなくなりました。
あのラジコン戦車のデザイン(色も含めて)に関して、個人的には藤子・F・不二雄先生が映画のテーマを考慮し、ゴーサインを出したものだと考えています。
リアリティのあるデザインにすることにより、子供たちに戦車の恰好良さだけでなく、戦争は決して空想の話ではない身近なものだと伝えたかったのではないかと。
そのため、ラジコン戦車の今風なキッズ向けのデザインにはガッカリしました。
残念な点5:原作にあった伏線がなくなった
本作では、原作やオリジナル版にあった伏線がなくなっていました。
- スパイホタルがジャイアンのポケットに入る
- 発信機が戦車に付着していた
- ラジコン戦車が研究される
これらの伏線がなくなったため、ドラコルルの狡猾さや用意周到さが希薄になってしまいました。
また「私に考えがある」だけでは、いくら何でも行動に至った理由になっていないので、ドラえもん一行の対策や作戦に説得力がなくなりますよね。
残念な点6:大事なセリフがなくなった
オリジナル版にあった大事なセリフがたくさん無くなりました。
そのため、藤子・F・不二雄先生の戦争に対する考えや世界情勢に対する懸念、登場人物の心情(もしくは信条)まで無くなっています。
これではリメイク作品というより、もはや別作品です。
のび太の小宇宙戦争2021の感想:良かった点
- テンポの良さ
- 迫力のあるアクション
- クライマックス
これらが、のび太の小宇宙戦争2021を視聴して良かったと思いました。
良かった点1:テンポの良さ
全体的にテンポは良かったと思いました。
良かった点2:迫力のあるアクション
ラジコン戦車と無人戦闘機のドッグファイト、クライマックスにおける、のび太のシーンなどのアクションは迫力がありました。
良かった点3:クライマックス
クライマックスにおける、のび太のシーンは良かったと思います。
「リメイク版のび太の小宇宙戦争2021」の改善案
リメイク版のび太の小宇宙戦争2021の改善案は次の通りです。
- オープニングイメージを宇宙のシーンに変える
- クライマックスまで原作通りのプロットに戻す
- 時間配分をオリジナル版に戻す
- 登場人物のセリフを原作通りにする
- パピの深掘りをしない(理想の子供像かつ大人として描かれているため)
- 原作通りパピは連行される
- スモールライトの悪用によるギルモアによる侵略を匂わせる
- パピのの演説のセリフを原作のものに変える
- パピの演説を公開処刑時に行う(これにより群衆が立ち上がれる)
- ピイナを登場させない
- 視聴者の感情を揺さぶるため挿入歌を少なくとも5回流す
- リメイク版の戦闘シーンを採用する
- リメイク版のクライマックスの、のび太とパピのシーンを採用する
- エンディングの自慢げな一行をやめる
- 武田鉄矢さんと少年期を採用する
- ラジコン戦車のデザインを変更する
これが、筆者の考えた「ドラえもん のび太の小宇宙戦争2021」の改善案です。
この改善案は、原作に込められた藤子・F・不二雄先生の「子供たちの未来を守りたい」という意志を尊重しつつ、原作やオリジナル版の弱点を改修しています。
そして、リメイク版の脚本の良い点や現在のアニメーション技術を加えることにより、今の子供や親御さん、オールドファン全てが置いてきぼりにならないように配慮しました。
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